平成最後の夏
- 888hansamo
- 2018年8月28日
- 読了時間: 10分
6月23日(土)の夜、私は予てからの友人と椿山荘でアフターヌーンティーの約束をしており、ウキウキと待ち合わせ場所に向かっていた。
オタク友達のMさんとは、9年越しの再会だった。ワクワクしていた私は少し早めに椿山荘に着いた。ちょっと育ちの良さそうな少年たちや、上品そうなご婦人、穏やかな老紳士などがいた。
少し遅れてMさんが到着し、互いの近況報告をしながら頂くアフターヌーンティーはめちゃくちゃ最高だった。そんな中、もう全て吹っ飛ばして話を進めるが、その会合でMさんが「これ読んでみ」と見せてくれたのが「錦田警部はどろぼうがお好き」(kindle版)だった。
椿山荘はおしゃれだったこと、肉がうますぎたことしか覚えていない。
↑記憶の一部
薦めてもらった「錦田警部はどろぼうがお好き」は2巻まで刊行されている作品だった。
絵も可愛いし、テンポもいい。あと何よりMさんの熱が凄かったので、読んだ。そんでもうお分かりかと思うが、Mさんの前で華麗に作品に堕ちたのである。
私が気に入ったのは、ルパンと銭形警部を彷彿とさせる「本来敵対関係であるはずの2人が付かず離れずの距離で走り回るが、結構互いに色々気にしている」という設定と、ギャグパートの部分だった。
特にギャグは、あとで同作者の「迷宮入り探偵」でも痛感するが、テンポが良いのに、ゆるさがあってちょうどいい。そこが気に入って読み進めたのだが、だんだん様子がおかしくなってきて、最終的に2人が4人になってあっちこっちに謎の矢印が飛び交う人間模様を形成していて、「?????????」と脳内が混乱しているうちに作品は終わった。
あとで知るが、この時はもう紙版がアマゾン中古で3000円とかだった。今はまだ買えない。。。でも今じゃなかったら…次は来るのか?
Mさんから、紙はもうないけど、いまツイッターで検索すると、ファンがむちゃくちゃ熱いから・・・・・という死刑宣告を頂戴し帰路に着いた。帰って速攻検索かけて見事にしんだ。
私もすぐにファンアート絵を描いた。
お恥ずかしながら私は腐女子だ。しかしオタクとして根底にあるのはとにかくこの作品が可愛くて楽しくて面白くて最高だなというハートである。ここから記憶があまりないが、なんかいっぱい絵を描いた。たくさんの幻覚を見た。
そして多くの方が書かれたダイマツイートを目にし、涙した。
なんでこの本が市場に出ていないんだ?絶対に欲しいのだが…。と思っていた。
そしてあれよあれよという間に、錦田警部がどろぼうがお好き(以下けいどろ)は「次に来るマンガ大賞」にノミネートされ、かんば GODまゆこ先生のピクシブにメッセージ付きイラストが投下されて私はヒックリ返った。こんな…原作者がこんなリアルタイムにレスポンスすることってあるんかいな???????と思った。実はこの時そこまで深くかんまゆ先生に思い入れはなく、メッセージを見ても優しい人だなぁ〜〜〜とは思ったけど、「この人の笑顔を何があっても守りたい」みたいなことはまだ思ってなかった。のちにがっつり思うことになるのだが…。
とりあえず投票した。
何はともあれ、投票した。
ノミネート作品はどの作品も強敵で、現在連載中のものばかり。この中に、2年前に一時完結&重版されない本がノミネートされている。ノミネートされるために働きかけたファンに感謝しながら、警部とアンリ君を思って投票した。
この頃、結構あちこちでけいどろ重版を願って出版社に問い合わせしたファンの方たちの無念の報告が見られた。
強さに憧れた。ここで声をあげてくれた人たちがいたから、後々の奇跡が生まれたんだと思う。
運命の8月24日が、なぜか23日に変更になった頃。
私は23日は自分の仕事が休みだと気付いた。やったーこの日はリアルタイムで拝めるぞ…ん…?配信は…ニコ生か…。
ちょっと焦った。
生まれてこのかた配信に縁がない自分は、当日「配信が繋がらず、ニコ生に入れず、涙を流す自分」が結構鮮明に浮かんだ。ありうる。事前の調整を怠ってこれまでなんども泣いてきた。同じ過ちを繰り返してはいけない。
なので、行くことにした。
もう、会場には行くことにした。
正確には、会場に向かうけいどろファンの方がいることを当日の朝Twitterで知ったので、勇気をもらって向かうことにした。フットワークの軽さには自信がある。ギリギリなのが玉にキズだが。
人に会うかもしれないので適度におしゃれをし、11時ぐらいに渋谷に降り立った。快晴だった。シブツタ、今までなんども通ることはあったが、いつも人の多さに負けてちゃんと入ったことがない。ツタヤに用事があっても渋谷のツタヤには行かない。絶対に地元の方に行く。
そんな私がシブツタでシブツタのお姉さんに「マンガ大賞の整理券ってまだありますか?と聞く日が来るとは思わなかった。すごい何気ない雰囲気を出しながら聞いたけど、私は眼鏡の黒髪で顔立ちもそういう雰囲気なので、きっとお姉さんには色々伝わっていたと思う。それでいい…(?)
整理券をもらった後、喫茶店で時間を潰し、タイムラインでファンの方たちの声にならない叫びを聞きながら、私も気が気でない1時間をそこで過ごした。で、なんとなく必要になりそうな気がしたので、渋谷のドンキホーテに走り、紫に光るキンブレを購入した。初めてキンブレというものを買ったが、まさかそれがこのタイミングとは…。
備えあれば憂いなしである。たとえ振れなくても、持っているという気持ちが大事なのだ。
時間になったのでシブツタに向かった。
同じくファンの方がもういらっしゃっていて、声をかけてもらい、皆で観覧席の前に行く。
椅子に座ろうしたら「椅子の後ろから並んでください」と言われ「えっ?まさかの立ち見…???」という驚きがあったが、ペタンコサンダルに楽々ワンピースで来た私に死角はない。強いて言うなら腰痛が心配だ。
周りを見渡すと、錦田〜ファンと、ゲストのでんぱ組.inc女子のファン以外はいなかったのでは???という程の人数。
ここで…発表される…。
私はキンブレを手に下げながら会場の動きを見守った。
音楽が流れ、司会者が話し、ゲストが瞬いた。中継も始まった…!いよいよだ!!!!けいどろファンの甲子園の開幕だ〜〜〜〜〜〜!!
などと思っていたが、現地に行った方も書いていらっしゃるので何番煎じかもわからないが「20〜11位が一気に一覧で出た時」は心臓が止まるかと思った。
えっ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!??
ってなった。目を皿のようにしてタイトルを追った。の、載ってなかった…。
載ってなかったけど、もしここに載っていたとしたら、開始1分ほどで夏が終わってしまう事態だった。載ってなかったけど…本当に心臓に悪かった。ここで結構体力持って行かれてしまった方もいるのではないだろうか。
まず、ウェブ漫画部門が4位まで公開された。ツイッターで逐一叫びを報告しながら、会場の動きを見守った。
作者も来ているという司会者コメントが気になった。誰が…誰が来るんだ?!
次にコミックス部門…おええええ気が気でない…。
正直に言うと、10位以内に入っていれば入賞では??と思っていたところもあったが…。
まじで気が気じゃない。
いつ呼ばれてもおかしくない。
でもできれば、トップを狙ってほしい。
しかし相手はオール強敵…
1つ1つ作品が呼ばれていき、心臓が止まりそうになるのを繰り返し、4位の作品まで呼ばれたが、以前けいどろは呼ばれぬまま。ええっ・・・・この作品たちを抑えて・・・・入賞・・・することってあるんだろうか・・・・・???って正直思った。
腰も限界だしもういっそ…早く一思いに…!という思いもよぎった。
しかし時は流れ…web漫画が1位まで発表され、つかの間の休息(解説)を挟んだのち、いよいよ…いよいよである。いよいよ、その時が来たのである!!!!!
「第3位!錦田警部はどろぼうがお好き!!」
ああああああああああ〜〜〜〜~っ
ああああああああああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜っ
司会者が作品あらすじを解説している、その背後には…
漫画の名場面が走馬灯のように…流れて…
その上をけいどろファンの方の弾幕お祝い雄叫びコメントが…流れて…!
すごい!
すごい現場に、立ち会っている…!!!!
シフトを組んだ職場の上司よありがとう、私は今、すごい現場に立っています!!
好きな漫画の、すごい瞬間に立ち会っています!!!!わ〜〜〜〜最高〜〜〜〜〜いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜最高〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
などと思っていたら次の瞬間
「作者の方が来ています!」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
あ…
かんばGODまゆこ先生だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!111111111
はっ
キンブレ(紫)の出番だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここぞとばかりにむちゃくちゃキンブレ振りましたが、登壇するかんば先生と、編集さんの姿を見て一瞬何が起こったかわかりませんでした…。
声がとっても可愛いかんば先生。
ジャージ姿のかんば先生。
動きの愉快なかんば先生。
お面を手作りしてくれたかんば先生、額には「あ・り・が・と・う」の五文字…。
アイシテルのサイン〜〜〜〜〜〜〜〜!?
こっちのセリフですがな!!!!!!!!!!!!!!!!!!
正直もうこの辺りフリップとかコメントとか覚えてないです
(あとでタイムシフトでニコ生再生して見ました)(見れたの良かった)
そしてそして…
「新装版が、10月18日に発売されます!!!!」
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
まゆこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まじかーーーーーーーーーーーー
こんなことって…あるんだ…
ああ…
世界よ…
行動してくれた全てのファンの方よ…
かんばGODまゆこ先生よ…
渋谷ツタヤ、そしてドンキホーテよ…
生きとし生けるもの全てに
ありがとう…
現実味がないけど、現実だった。
夢のようだけど、夢じゃなかった!!!!!!
シブツタの特設コーナーも拝んだし、ファンの方と放心状態でお茶したし、色紙を見るためにまたシブツタに戻って現物も見たし、すごい1日でございました。
記念の色紙は、二人の距離があまりに近いから、これがかんば先生が受賞の暁に約束してくれたイラストだと思ったら、違った…。夜にはまた最高が押し寄せてくるから本当にすごい(かんば先生のピクシブ報告)
スゲ〜なぁ。
スゲ〜ことだよ。
錦田警部と怪盗ジャックには、これからも周りを巻き込みながらドタバタ追いかけっこを続けて、読者に最高を提供して欲しいなと思います。
ていうか新装版3巻て、あなた…。
犯沢さんと迷宮入り探偵も合わせると6冊刊行かんばまゆこ祭りなるわけです。10月は神無月といい、出雲の方に神が集まるから出雲では10月のことを「神有(在)月」呼ぶ、と風の噂で聞いたんですけど、確かに出雲は島根県にあるので、島根出身のかんば先生こそ最高の神の1人ということがよくわかりますね(わかりません)
私は1読者で1ファンだけど、1つの作品が終了したのちも、ファンがその聖火を絶やさず走り続けて、素晴らしいダイマが爆裂拡散され、読む人が増えて、賞にノミネートして、受賞して、新装版決定して、作者の感謝コメント大放出…っていう一連の流れに立ち会えたのは…なんていうか奇跡的な光景でした。
ちょっとふわふわしすぎて、色々すっぽ抜けてしまったので、気を引き締めつつ…。
これからも1ファンとして、陰ながら応援していけたらと思っています。
本当にこの度はおめでとうございました!!!!
新装版は全部予約しました。
10月(神有月)がこれからとっても楽しみですが、正直6冊刊行は鬼大変だと思うので、先生の体調とメンタルを第一に、これからも楽しく漫画を描いていって欲しいなと思います。
ラブ…!
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